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決意を新たに!

個性は、自分をとりまく社会からの最低限の要求にこたえた上で、発揮していくものである。「それが普遍的だ」と言っているのではない。そうしないと、僕自身が幸せでいられないというだけである。だが、「社会に対して、最低限これだけやっておかねば負い目を感じる」という気持ちは、程度こそ違えど誰しも持っているように思う。そして、今の自分がそのラインに到達していないと思い知らされたとき、初めて「ああこれじゃいけない」と思う。社会に対して負うべき責務を負わねば、どう自分に言い訳しても、泰然としていられないのである。

僕はともすれば、自己満足の殻に閉じこもり、社会のありようを無視してつっぱる癖がある。まあ個性はその中で磨かれていくようなので、あながち悪いばかりではない。しかしそこで、ふと重大なミスをしたとき、社会的な最低限なことができていなかったことに気づかされる。「これじゃいけない」と激しく苦悩させられる。そうなったら個性を磨くことをしばらく中断し、社会性を磨く努力をせねば事態は好転しない。


仕事で大きなミスをした。農薬のやり方を間違え、薬害が生じ、木が枯れそうである。それも仕方ないミスではなくて、ほんの初歩的なものである。不注意である。
その前までは、「自分のやり方で行けばいい」「生産も販売も、自分のペースでやっていけばいいや」とのんきに構えて、毎日夜更かししてパソコンに向かっていた。1時2時に寝て6時におきる毎日が続いた。夜は消防の訓練が毎日あった。ヨーロッパ旅行以来、一日の休みも無い。どこかにひずみが生じないはずは無かった。このミスは、起こるべくして起こった。
そしてこのミスは、自分の中で完結するものではない。少なくともCEOには迷惑をかけたことになる。

ああ、これじゃだめだと思った。まず、寝なければだめだ。そして気を充溢させて、仕事に取り組まないといけない。最近は時間だけこなして、仕事の質が明らかに低下していた。十分真面目に働いていると思っていた。だが違った。だって、他の農家はこんなミスをしていないのだから。

この経験を、生かしたい。
早く寝よう。疲れていてもさっさと洗い物をして、風呂に入ろう。
書き込みは、短い時間でさっと書こう。文章を書き続ける上では、そういう能力も大事である。大作は、時間のあるとき書けばよい。

それではこれにて。おやすみなさい。
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# by takeyabubass | 2005-09-23 21:50 | 思想

経過報告

今年のみかんは、おいしくなりそうである。
実はもう、収穫が始まっている。「ごくわせみかん」といって、収穫期が早くなるように品種改良されたみかんがあるのだ。今スーパーに出回っている青いみかんがそれである。

僕もそれを作っている。しかし、あまり力を入れていない。ほんの付き合い程度だ。本物のみかんは、やはり12月に入ってからの、やわらかく真っ赤に熟れた完熟みかんである。ごくわせみかんもそこそこおいしいが、僕の中では「みかんが大好きで12月まで待ちきれない人が仕方なく食べるみかん」くらいな認識である。極早生の中には「みやもと」「にちなん」「うえの」などがある。

11・12月が旬のみかんを「わせみかん」という。それにもいろいろ種類があるが、うちで作っているのは「みやがわ」である。現在83才のCEOが20台のときに植えた木が、いまだに残っている。それくらい古い品種だが、県下でも、いまなお主流となっている。果樹の品種改良は、日進月歩ですすんでいる。その中で数十年にわたって栽培され、食されてきた超ロングセラー「みやがわ」。僕はこれからもこの「みやがわ」を軸に、みかん作りをしていきたいと思っている。

畑で毎日、味見をしている。今年のみやがわは、味がしっかりしている。糖度も、酸度も高い。酸度はこれから低くなっていく。今時分に酸度が低いようなみかんは、12月までおいたら水っぽい、味気ないみかんになってしまう。ほどよい酸味は、甘みも引き立てる。今年の完熟みかんは楽しみである。
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# by takeyabubass | 2005-09-22 22:01 | 仕事

竹やぶ、取材を受ける

明日、地元農業月刊誌の取材が来る。
地元JAが月に1人ずつ若手農業者を取材し、写真とともに雑誌に載せるというものだ。毎月ひとりずつなので、管内の多くの人間が経験する。特に名誉というわけではない。

過去の、そのコーナーを見てみた。なんておもしろくないんだ。載っていることといえば、どのくらいの面積で何を作っているかと、農業に対するちょっとした意気込みと、趣味くらいだ。どれを見ても、作物が違うだけでほとんどかわりばえしない。まあそれが農業者として正しい姿勢なのかもしれんが・・・。いやしかし意気込みといっても、「安全でおいしいものを作りたい」とか、「がんばって仕事をおぼえたい」とか、ホントその程度で、そこからは彼らの価値観の片鱗も見えない。字数が少ないせいもあるし、取材者の質もあろうが。

とにかく、明日は僕が取材を受ける。何か少しおもしろいことを言いたい。いや、別に奇をてらうわけではなく、正直に自分の思うところを提出して、批判や共感を得たい。ひとりひとりの本心を手繰ってみれば、思いは千差万別のはずである。確かに農家としての共通点もあろうが、共通点をわざわざ取材して紙面に乗せる必要はない。千差万別な部分を取り上げて掲載してこそ、記事はおもしろくなるのだ。

取材を受ける側にも問題がある。「あなたを紹介します」と言ってくれているんだから、自分の中の人と違う部分を、スパッと取りだして見せてやらねばだめだ。無難に月並みなことを言っておこうなどと思う奴は、読者に対するサービス精神が足りん!向上心も足りん!!みておれ!!!
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# by takeyabubass | 2005-09-19 20:12 | 仕事

こうこう

コオロギが鳴いている。すずむしも。
もう、夜とか寒くなるなあ。そしてじきに冬が来る。
季節の移ろいは、僕の心をいつも癒してくれる。

春の日差しの肌寒さ
かげろう立つ夏の山
寂しげな、秋の夕暮れ
しずんだみどりいろの畑に、いちめんにまう雪。

兼好法師が言っていた。季節というのは、予兆からおぼろげに思い浮かべるのが最もよい。つまり、ある季節の到来は、すでに次の季節の兆しを含んでおり、そこから先の季節を思い浮かべるのが、非常に趣がある。

稲穂は金色になりそろって頭をたれ、少し疲れた夏草の中に点々と真紅の彼岸花が見える。朝夕は涼しく、夜は虫の音でにぎやかである。今はすっかり秋である。僕は、冬を思い浮かべる。冬といえば、雪である。この辺は、雪が少ない。だから雪が降ると、全く違う世界に感じられる。

山の畑で三宝を取りながら、雪に曇った灰色の町を眺める。表面こそ硬く冷えているが、体のシンは熱い。雪はあの入り江にも、家々の屋根にも、道にも、竹薮にも、畑にも降り、降っては消えていく。大地を冷やしながら消えていく。冷え切った大地では、確実に何かが充填されているのだ。木が水を吸い上げるような速さで大地は、ゆっくり、じわじわ、エネルギー値を高めていく。

僕は冬が好きである。寒いほうが、感情がくっきりときわだつ。寂しさが鮮明になる。寂しさの持つ美しさが、最も引き立つ季節である。

そしてそんな冬の予兆を秘めた秋が、僕は大好きである。
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# by takeyabubass | 2005-09-16 23:40 | 自然

バカ長い回想

秋風が吹くと、大学時代を思い出す。長い長い夏休みが終わって、久々に授業が始まる秋。半年間にわたる、卒論との戦いが始まった季節。今日の文章は明らかに長すぎ、文体も不親切で、読者の皆さんにとっては全て読むのは苦痛であろう。でも自分のために書いておきたい。大学時代の4年間のことを。



 竹やぶの大学時代

農学部に入った。農業に関して、バリバリ勉強しようと思っていた。1年の頃は、卓球部と合唱団をかけもちし、車の免許も取り、農作業のバイトもし、教職免許を取るための講義も受け、講義の成績はオールAだった。

2年生になり、楽なコースに所属した。無理をすることはないと、卓球部をやめた。授業は週休2日に加え、5日のうち2日が半日休みだった。空いた時間で、前期はバイトと合唱に精を出した。後期はバイトもあまりせず、合唱団の人々と毎日不毛な会議を繰り返した。当時は一生懸命やっていた。しかし、学生の本分である学問から、だんだん自分が離れていくことに対して後ろめたい気持ちがあった。アパートの窓から、川を挟んで大学が見えた。深夜まで明かりがついている。みんな勉強しているのに、僕はこれでいいんだろうか。

3年生になった。無理をすることはないと、教職免許をあきらめた。中心になって合唱団を運営した。合唱のでき自体は例年に比べていいほうではなかったが、個人的にはアカペラバンド(ながはまーず)、ミュージカル、社会人の合唱団などにも参加し、大忙しであった。学問をせねばならないとか、後年大成するために人間を磨かねばならないとか、そういうことはあまり考えなくなった。目先の物事に一生懸命になっていたら、そんな考えは頭をよぎらない。あらゆる義務感や罪悪感が、だんだんと麻痺し、消失していった時期でもある。

4年生になった。役を降り、合唱団にはあまり行かなくなった。卒論をしなければなあと思いつつ、前期は手付かずだった。講義も少なかった。バイトもしなかった。ながはまーずの練習と、パソコンのゲームと、気の会う友人との語り合いと、漫画喫茶と、夏目漱石と、アンドレアボチェッリと、道後温泉と、恋人との甘い時間で毎日が埋まった。ときどき研究室に行って周りの状況を確かめたけど、みんな同じようだった。

夏休みになった。そろそろ卒論をやらないとやばくなった。テーマは決まった。しかし何をやっていいのかわからない。教授からは、「何をやってもいい、しかし前代未聞の論文であること」という条件が課せられた。僕は大学の書庫の前に立ちすくみ、「これだけの人があらゆることについて調べつくしているというのに、いまさら僕に何を言えというのだ」と途方にくれた。不器用な僕には、既存の研究から適当に引用して論文っぽく纏め上げるようなこともできなかった。

後期が始まった。大学の二学期は10月から始まる。黄色く暖かい日差しの下では、もう秋風が吹いている。空は高く青く、構内ではプラタナスの黄色い葉がじきに落ち始める。授業はほとんどない。卒論と、ながはまーずと、ミュージカルと、合唱団と、友達と恋人で日は埋まった。秋が深まるにつれて全ての活動が忙しくなっていった。僕はフル稼働していた。

それまでの半年間、専門書や過去の研究などをはぐっては悩むことをくりかえしていたが埒が明かなかった。だからとりあえず、外にでてみる決心をした。教授の知り合いのつてで農協にいき、そこで人伝いに自分の研究対象の現場の人を紹介してもらった。いろんな施設を、手当たり次第に訪れた。片道で電車なら2・3時間、レンタカーなら2時間かかるところまで、アポを取っては何度も往復した。今思えば、かなりのお金をつぎ込んでいた。最終的に13箇所の施設に絞り込み、調査することにした。さすがに現場だけあって、「これは使える」という小ネタは少しずつ落ちていた。しかし決定的なものが足りなかった。

調査をしているうちに、中間管理職からの聞き取りからでは限界があることに気づいた。分析すべきデータもなかった。月並みだがアンケートをして独自のデータを得ないと、独自の論は展開できないと思った。そこで年内に、渾身の力をこめてアンケートを作り、配布し、返事を待った。年末は合唱団、ながはまーず、ミュージカルが同時に佳境にさしかかる時期でもあった。

数々の音楽ステージをこなし、わずかに実家で正月を過ごし、松山にもどった。アンケートの返事が来た。が、180部配ったうち40部弱しかこなかった。データとしては明らかに少ない。またしても途方にくれた。ちょうどその頃、ひろも苦戦していて、お互いに不安をかこちあった。ひろの論文にも少し協力した。

もう一度、アンケートをやることにした。今度はこたえやすいよう、ごく簡単な質問をA4一枚の裏表にまとめた。農協の人に協力してもらって、効率的に配布した。枚数も450部に増やした。卒論の提出期限は一ヶ月後に迫っていた。2週間で返事が集まり、1週間で集計・分析し、ラスト1週間で論文を書き上げるという怒涛の計画を立てた。アンケートが帰ってくるまでの間、それまでに調べていたことを論文にし始めた。1章から3章まで完成した。後はアンケート結果から、4章とまとめを書けばよい。

アンケートが返ってきた。384部、返ってきた。データ数としては十分である。まずは喜んだ。しかし勝負はそれからである。その結果から、なにか前代未聞の答えを見出さねばならない。僕は夜を徹して、たどたどしいエクセル裁きで、数百通りのクロス集計を行った。3日に一度、3時間ほど眠った。

集計の中から、前代未聞の答えを見つけた!!言葉にしたら月並みだが、データを背景に述べたのは僕が初めてであろう答えを。次はそれを論文の4・5章にはめ込んで、文体や図表やレイアウトを整えれば完成である。肉体はかつてない不健康状態だったが、省みる暇はない。最後の1週間もそのままのペースで走りぬいて、提出時刻の1分前に、ついに、ついに提出した。

エピローグがある。結局その論文は、「いろいろ盛りだくさんでおもしろい出来じゃないか」と教授に認められ、大学の紀要論文として取り上げてもらえることとなった。学士論文としては名誉なことである。まあそれも一筋縄ではなく、それから1ヶ月間、再び研究室にこもって論文を1から組みなおしたのだが。

その後ながはまーずで多くのファンに惜しまれながら(?)解散ライブをやり、ミュージカルの最終公演をやり、合唱団を卒団し、大学を無事卒業して、山のように資料の積みあがった研究室と、4年間汚しつくしたアパートを掃除して、その後1週間は何もせず余韻に浸り、そして松山を立ち、実家に帰り、農業を継いだのである。

目先のことに懸命になっていられることが幸せであると気づいた。嫌なことを無理してやる必要もないと思った。この苦しく、美しく、幸せな大学時代を、いずれ書き記したいと思っていた。再び違った切り口で書くかもしれない。最後まで読んでくれた人がいたら、「非公開」でもいいので、コメントに「読んだ」とだけ書いてくれたらうれしい。誰もいないかもしれないね。それでもいいよ。
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# by takeyabubass | 2005-09-15 01:29 | 過去



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