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焼芋、消滅

僕が続きを書くといって書いたためしがないのはご承知のとおりである。

昨日、大量の梅の剪定枝を燃やした。白煙が渦巻き、火柱は天を焦がした。ひととおり燃えた後は、薄暗い夕闇の中で木炭の中に燈った火が、からからと明滅していた。時折大きな燃え残りから、青い炎がふきだしては消えた。
焚き火をすると、確かに暖かい。しかしそれは体の前半分だけである。背中の冷たさが際立つ。そのアンバランスが不快になり、時折焚き火に背を向けるのだ。こんどは背中が温かい。景色が変わる。あたりは真っ暗なのに、空はあくまでも明るく、透き通っている。オレンジと、黒山の稜線が切り絵のようにくっきりとしている。

気温が下がり、空気の湿り気も増してくるのに、焚き火は僕を守ってくれる。決して弱まることなく、僕を包んでくれる。この安心感。
のどかである。うららかな陽気とは、また違った心地よさだ。

人を雇って、広い面積で、社長と呼ばれて仕事するのはカッコイイ。
しかし今のように、のんびりとやりたいようにやるのも幸せである。
結局どっちになってもいいのだ。なるようになったんでよかろう。

ああ、題名と違う方向に話が進んでしまった。
蛇足かもしれないが付け加えておく。

司馬光が、焚き火のあとの灰で焼芋をしようと、濡れ新聞と銀紙を巻いたサツマイモを二本用意した。僕は灰の中にそれをうずめた。
そのまま朝まで忘れていた。仕事に出る前に気づいて掘り出したら、銀紙に包まれた芋が出てきた。しかし火箸でそれをたたくと、「ボフッ」といってへっこんでしまった。何の手ごたえもなかった。焼芋は、消滅した。おわり。
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by takeyabubass | 2006-02-07 00:25 | なんとなく

竹やぶ社長、一農民に戻る

いよいよ明日から、新入社員が来ると意気込んでいた矢先であった。

反対する前CEOらに、事の経緯と僕の意志をようやく理解してもらい、了承を得た。ジュース工場でも使ってもらえるよう相談しようと思い、管理人のMさんと会う約束もした。頭の中で、数ヶ月先の予定を組みなおした。


そんな折、突如彼から電話があった。
「自給750円では、やっぱり生活できないので、やめときます。すみません。」

突然のことに驚いて、言うべき言葉が見当たらなかった。
「・・・え、そうなんですか」と言ったきり黙っていると、相手は
「では、そういうことで。」といって、さっさと電話を切ってしまった。



「なーんだ。」というのが、正直な心境である。
せっかく相手の要求にこたえようと自分なりに考えに考えて、覚悟を決めて、交渉に行って、2時間にわたる話し合いの末ようやく合意したかに見えたのに、ふいに裏切られて、少し情けない気もする。しかしがっかりした反面、ほっとしたのも事実だ。

相手にとって不利な条約だとは知っていた。しかしそれを隠したり、ごまかしたりはしていない。僕は相手が断ることを念頭において、「職安にいけば、もっといい働き口がありましたよ。しかしうちはこれだけしか出せないんです。それでもいいなら是非来てください」と言い、条件を提示した。
彼は、「農業は好きです。がんばりますので雇ってください。よろしくお願いします。」と言った。僕はその言葉を信じた。責任感と同時に嬉しさもこみ上げ、「よし、この人のためにもがんばって収入を上げよう。」と心に決めた。署名や印鑑は必要ないだろうと思った。しかしそれは、甘かった。

ああ、もう家庭教師に行かなくちゃならない。おわる。また続き書くよ。
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by takeyabubass | 2006-02-02 18:49 | 仕事

交渉

昨日書いた、51才の男を雇う決意をした。決して軽々しく決めたわけではない。彼の言葉に嘘はないか、職安まで行って調べた。彼のアパートで、コタツに入って、差し向かいに2時間、面接をした。
バツイチ、無職、顔も恐ろしげな男である。経歴も外見も、見るからに怪しそうな人間である。だがまずは話してみなくてはと思い、「未知に足を踏み入れたい」という興味も手伝って、面接に行った。
小高い丘にある、6畳一間のアパートに彼は住んでいた。部屋はこぎれいで、いやむしろ殺風景であった。コタツの上にはしなびたみかんがおいてあった。釣りが趣味らしく、風呂の扉の横に釣竿を立てかけてあった。

話してみて、「並みの社会性はある」と判断した。相手が若輩者だろうが、雇い主と労働者の関係は別問題であるという分別もあるようだ。そしてなにより、お人よしの農家に付け入って悪さをしようなどという不純な動機もないようだった。一見悪そうだが、根はそうでもないと判断した。第一関門である、「人間として信用できるか」という点は、何とかクリアした。

次の関門は、「彼を雇って、経営が成り立つか」である。忙しいときだけならいいが、常雇いというのは大変である。仕事がないときも、無理に作らねばならないからだ。効果的に仕事を与えないと、雇っているだけで損をしていく。
また彼がどれだけの能力を持っているかも、未知数である。木に登れるか。草刈機は使えるか。チェーンソーは?消毒は?あらゆる作業を覚えてもらわないと、「常に働かせる」ことは難しい。はじめは無理にしても、51才の彼に、上達していうこうという気概があるか。これも重要である。重要だが使ってみないとわからない。

様々な不安要因があった。だから僕としては、おいそれと返事ができなかった。引き受けるということは、経営がどんなに苦しくても、彼を使い、彼に給料を与える責任が生じるのだ。僕は、僕の置かれた状況と、そういった不安を正直に彼に話した。
交渉において、弱みを見せることは下策かも知れぬ。だが僕は、「機械的に彼を利用する」というよりは、「人間的な結びつきを強くして、苦しいときも一緒にがんばりぬく」という関係を構築したかった。だから僕が弱みを見せたのは、ある意味計算の上だった。
その上で、僕は「これでもか」というくらい、相手に不利な条件を出した。

①自給は750円(農作業としては格安)。
②一ヶ月に、20日以上雇えばいい。つまり月給は最低12万円。
③勤務態度が悪ければ、こちらの判断で減給・解雇する(もちろん常識の範囲で)
④休日は、不規則である。天候などにより、当日の朝になって「今日は休み」という場合もある。
⑤交通費、弁当代は負担しない。
⑥勤務態度に問題がなければ、とりあえず半年間(2月から7月まで)雇う。それで経営が成り立つようなら、引き続き雇う。
⑦怪我などの保障は、労災のみとする。

相手は迷った。当然である。常識からすれば、いい待遇とは言えない。

そこで僕は、
とりあえず半年に区切ったが、できれば以後も雇いたいと思うし、経営状態に応じて昇給も考える、こんな条件で使うのは、実は申し訳ないと付け加えた。またこれで経営が成り立つかどうかは、あなたの働きにもかかっていると言った。

彼はうなずいた。「月12万あれば食っていける。」
交渉は、成立した。同時に、僕の双肩には、「一人の男をあずかる」という責任がのしかかった。この条件は相手にとってあまり喜ばしくはないだろうが、僕としても、むやみに搾取する気持ちはない。実際今の経営状態では、それが精一杯なのだ。彼の働きと、今後の収入を見て、待遇は良くしていきたいと真に思っている。

僕を信じてくれた彼のために、できるだけ有効に仕事を与え、収益を上げたいと思う。
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by takeyabubass | 2006-02-01 00:47 | 思想



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