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英雄たちの群像5

Mr.ノボは、一流の男である。
今日、尊敬するノボの畑を見せてもらった。以前彼のみかんをたべたことがある。そのとき僕は彼のことを知らなかった。しかしそのみかんは、強烈に印象に残った。
少し大きめの、Lサイズのみかんであった。皮はなめらかで、落ち着いたというか、くぐもったような橙赤色をしていた。手に取るとずしっと重みがあった。
柔らかくて、みるみる剥けた。じょうのうが薄い。房で実を割ると、薄皮が剥がれて真っ赤な果肉がむき出しになる。2房、とって食べた。みずみずしく、ほどよい弾力もあった。
ただ甘いだけで、うまくないみかんはよくある。「糖度13度」と銘打ったみかんよりも、糖度と酸度のバランスが取れて、適度にアミノ酸を含む11.5度のみかんほうがおいしいことは、ままある。しかし彼のみかんは、甘くておいしかった。なんだか、作り込んだという感じの味だった。しかもそれが不自然ではなく、丹精こめてつくった、という風な。

僕はそこに、自分の目指すべき方向性を見た。素直に、「僕もこんなみかんをつくりたい」と思った。彼と懇意になってからは、いろいろ話を聞いた。みかんの味から想像したとおり、試行錯誤を繰り返し、日々たゆまぬ努力をする一流の男であった。
少し前にみかん生産者で話題になった「切り上げ剪定」という技術がある。僕は本で見てそれを知っていた。彼はそれを実践していた。今、話題なのは「樹冠上部摘果」である。彼はそれもいち早く取り入れた。そして両者を比べた結果、「切り上げ剪定」よりも「樹冠上部摘果」がよりよいと判断し、今はもっぱら後者を行っている。

以前僕が「今度畑を見せてください」と頼んだら、彼はうれしそうに、「おう、見にこい」と言ってくれていた。それで今日行ってきたのである。
何か特別な、理想的な、教科書のような畑を想像していた。しかし違った。今の僕の畑を、少し頭をひねって手を加えれば変身させられるような印象を受けた。同時に、今僕がやろうとしていることを徹底しさえすれば到達すべきものであるとも確信した。無理だと思っていたことが、急にできそうな気がしてきた。
僕はすがすがしい気持ちで「ありがとうございます」といい、ふくらむ期待を胸に、家に帰った。

つづく
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by takeyabubass | 2005-08-30 02:10 | 他人
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