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ガキノコロ

小学校時代のことで、今でも誇りに思っていることがある。
それは、非常ベルを押したことだ。しかも2回。ボタンなるものを、押してみたい年頃である。きっと誰もが、押したいと思ったに違いない。

1回目に押したのは、2年生のときである。たしか掃除の時間だった。僕は雑巾で、廊下を拭いていた。ふと見上げると、そこにボタンがある。それは透き通っていて、中に赤いものが見えていた。「強く押す」と書いてある。

鼓動が高鳴った。押してはいけないとは、知っていた。しかし押しても殴られはしないと思った。押すときっとベルがなるんだろう。それが何だというんだ。謝ってすむではないか。それよりも、このこみ上げる衝動にこたえたい!勇気を出して自分の欲求を満たしたい!!
押すべきだと思った。今思えば子供心ながら、非常に冷徹にメリット・デメリットを分析している。

僕は押した。ボタンは意外とかたく、小学生の手だと、力いっぱい押し込まねばならなかった。僕は親指で、透明なるプラスチック板をぐいと押し込んだ。
ボチッと、プラスチック板は沈んだ。中の赤ポチも押し込まれた。けたたましくベルが鳴った。あたりが騒がしくなる。僕は1人、押し込まれたボタンを前につかの間の満足感を味わった。

「誰だ誰だ」
先生が走り回った。僕はすかさず、次の行動に移った。野望は達成している。後はいかに、自分に降りかかる災いを少なくするかである。僕は先生に、自ら申し出た。
「僕がやった。」
「なぜ押したのだ。」
「ボタンを、雑巾で拭いていたら誤って押してしまったのです」
あつかましくもそう言い切った。ガキの言い訳に教師がどう思ったかはわからないが、
「校長先生に謝りなさい」とだけ言われた。
僕は1人で校長室に行き、
「非常ベルを押してごめんなさい」と謝った。

2回目は確か4年生のころ、水泳が終わって着替えていたときだ。
友達に嫌なやつがいて、話の弾みで、
「非常ベルは、よう押さんやろ?」といわれた。僕はむっとして、
「押せるよ」とこたえた。
「じゃあ押してみ」と相手が言うので、
ほら、と、何の躊躇もなく押したのである。手馴れたものだ。またしてもけたたましい鐘が鳴り、周りはぞめきたった。その後のことは覚えていないが、どうせ大したことはなかったんだろう。

僕にはそういう性分がある。
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by takeyabubass | 2005-08-28 19:22 | 過去
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