家庭教師の道
僕が家庭教師をする上でのモットーは、生徒が自発的に勉強するよう仕向けることである。さらに言えば、主体的に生きるようにすることである。我々がこの世に生を受けたのは、必ずしも自分が望んだからではない。生きることは大変であるのに、生きる努力をせねば苦悩するようなシステムを負わされ、有無を言わせず存在させられているのだ。
そうとわかっていても、「でも生まれてしまった以上は文句を言ったって仕方ない、楽しく生きてやるぞ」という気持ちを忘れなければ、つらい世の中にあっても、自分なりの幸せを見つけながらなんとか生きてゆけるのではないか。 そこが根幹である。だから僕はある意味、うつろな目で学校生活に何の喜びも見出せず、ため息ばかりをついている、あるいは不登校になったような子供を、生き生きとした人間にすることを想定している。現に過去二人の教え子はそうだった。 もちろん、主体性をすでに持った子にも教えることはたくさんある。それは問題解決のための知識であったり、点数を取る技術であったりする。中学生や、科目によるが標準教科書レベルなら高校生も教えられる。 生き生きとした人間にすることは、大半は「勉強」という行動を通して行う。とっかかりは面倒でも、問題が解けたら嬉しい。それに気づかせたい。 人生の中の、「喜び」とはたいていそんなものだ。まずはとっかかりの面倒に耐えねばならない。そのあとで僕らは、疾走感や、開放感や、充足感を得られるのだ。 一輪車がそうだった。アカペラやギターもそうだった。お金をためて贅沢をするのも、高価なマシンを「イェー」と乗り回すのも、全部同じだ。まず苦労ありきだ。 しかし親にゲームを買い与えられて育った子供の多くは、とっかかりの面倒に耐えられないのではないか。僕はそう見ている。ゲームは、苦しい過程が排除されていて、ただ楽しいからだ。 現実では、まず苦労することを知らねば、人生の喜びの大半は味わえないであろう。それを知らずに楽な道を選ぼうとするから、結局ニートとかになって苦悩するんだろう。 この国に生まれた以上は、義務教育を受けねばならぬ。ほとんどの子供にとって、それは抗いがたい事実である。どうせやらねばならんのなら、そこから得られる喜びを最大限追求すべきである。それが世界を受け入れるということであり、社会に適応することである。我々は社会が認めた快楽しか追求してはならぬ。そうでなければ結局、自分が苦悩する。 将来の夢が特にない子が、勉強で得られるものとは何か。それは解けたときの達成感と、点数がよかったときの充実感、さらにそれを褒められる喜びである。それを知らしめて、とにかく自発的に勉強する気を起こさせたい。そうして培った学問が、いつかそいつが本当に何かしたいと思ったときに役立てば、僕は教育者としての大いなる意義を全うしたことになる。 僕は、常に学習意欲を持ち続けたい。どんな問題でも、解いてみたら楽しいのだ。だから「といてみよう」という気持ちを忘れずにいたい。その姿勢でもって、生徒を感化したい。今の教え子には、それが成功しているように見える。 時には有無を言わせず、「やれ!!」と強制する。やらねば机をたたいたり、精神的につらいことを言って攻撃する。しぶしぶでも、やらせる。そしてテストが終わって、その結果がよくなっていることを自覚させる。(これが失敗すれば、ただ単に嫌われるだけなのでリスクも大きい) いい点数を取ったら、とことん満足感に浸らせる。親ともども、褒め称える。 これが意欲のない子に対する、僕の指導法である。 意欲のある子に対して僕がやることは、適切な課題を与えることと、彼からの質問に答えることだけである。 ああ長かった!
by takeyabubass
| 2005-10-05 21:35
| 仕事
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